昨年、夏の終りに四国へ行ってきた。
毎年、夏の後半に有給を使って大きな休みをもらう。
自宅で今年はどこへ行こうかと考えていると、
「旅と鉄道 ”青春18切符の旅” 」という雑誌を買ったまま放置していた本を手に取り、
おもむろにめくったページに驚愕の写真が掲載されていた。
それは愛媛の、通称”串俯瞰”という青い伊予灘を背景にした予土線の写真だった。
山の中腹にて遠くから、橋を横切る素朴な予土線を狙った大胆な構図に一瞬で心を奪われた。
これを俺も撮りに行くしかない、そう固く心に誓った。
出発前は天気予報だけが心配だった。3つくらいの週間天気予報サイトをまたいで毎日毎日確認していた。
いずれの予報も予想は弱冠の違いあるが、とりあえず予報はいずれも芳しくなかった。
万が一天気が悪かった場合は、ルートを変更し日程の調整、
それに伴うホテルのキャンセルと新規予約等の可能性も考えて、
時間さえあれば天気予報と各地域のビジネスホテルの空室状況をにらめっこしていた。
出発直前になり、当初の串俯瞰を撮影する予定日の午前中は晴れという予想がある予報サイトがあった。
その予報に一縷の望みを賭けて僕はとにかく出発した。
愛媛だけではなく、高知を回って香川に出ようというルートに決めた。
まずは岡山へ出て、特急しおかぜを使って松山へ出た。
松山で一泊し、翌日、レンタカーで串へ向かうことにした。
岡山の駅が相変わらず暑かったのを憶えている。
松山までは約3時間くらいだった思う。
車内で爆睡してしまったようだ。当然、車内での出来事は何一つ記憶にない。
松山に着くとまずは予約をしていたレンタカーを借りた。
特に何かするというわけではなく、ちょっとした買い物をしたり、伊予鉄をボーッと眺めたりしていた。
松山城の近くのスーパーホテルに宿泊した。
すっかり日は落ち、さてなにするかと考えたところ、とりあえず道後温泉と夜メシだろうということになり道後温泉へ向かった。車で15分くらいだった。
温泉の前に腹ごしらえするかと、適当に入ったお店で鯛だのなんだのとやたら豪勢な御膳に舞い上がり、すっかり長居した僕は、さて温泉でもゆっくり浸かるかと勇んで向かった道後温泉は、
「本日は終了いたしました」
なんでやねん!
写真とかどうでもいいからさ…
温泉に入りたかったな…
意気消沈したが、美味しいものが食べれたから良いかと無理矢理自分を納得させて
ホテルへ戻り松山での一日を終えた。