8月28日(水)
姫路を発った僕は、最終宿泊地の桑名へ向かう。
姫路から桑名へは、早ければ14時過ぎには着く。
昼過ぎに着くのは早過ぎるのではないかと勿体無いように思えた。
夕方の17時までに桑名に着くことができるようなルートを考えた。
僕が考えた桑名へのルートは大きく分けて3つしかなく、
米原経由で名古屋へ出るか、草津から亀山へ出るか、木津から亀山へ出るかの何れかだった。
考えたとは言い過ぎで、考えるまでもなく木津から亀山へ出ることに決めた。
まずは木津を目標にした。姫路から木津へ出るには、また幾つかの路線が考えられた。
決めたのは、姫路ー尼崎ー放出ー奈良ー木津というルートだった。
他に候補としては、姫路から加古川へ出て、加古川線を使い兵庫や京都北部の山間へ突っ込むという魅力的なルートもあったが、
ダイヤが非常にシビアだった。9:17分の加古川発を逃すと、加古川発が12:42分まで待たなければならず、この方法は断念した。
やっぱ伊賀越えダゼ
10:11姫路発の山陽本線に乗る。
数日前に来た道を戻ってゆく。
どういうわけか行きと帰りでは、景色が違うように思える。同じはずなのに。
颯爽と舞子を過ぎて、爽やかに山陽道に別れを告げる。
11:07分尼崎に到着する。
階段を駆け上がって尼崎駅のスタンプを捺す。
11:17分尼崎発、同志社前行きの東西線に乗る。放出を目指す。
東西線は地下へ潜る。
福島、北新地、京橋、大阪城、いわゆる大阪の「キタ」を走る。
車内はガラガラだった。しかし僕はなるべく人と目を合わせなように下を向いていた。
一体何に対して警戒していたのだろうか。
電車はいつのまにか地上へ出て、放出に11:41分に到着する。
11:56発の久宝寺行きJRおおさか東線に乗り、久宝寺からは大和路線(関西本線)に乗り換えて木津まで行く。
そう、行くはずだったのだが、
僕は間違えてしまった。11:56分発のJR学研都市線(片町線)木津行きに乗ってしまった。
余裕コイて放出駅で呑気に駅スタンプを捺して浮かれていたら、
停車している電車の確認もせずに乗ってしまった。
しかし乗ってしまったものは仕方がない。
どうせ木津に着くのだからと開き直った。
大阪から京都府に入る。
それにしても大阪や京都というのは、とにかく長屋が多い。
京都ではほとんどが町家、商家のような造りで美意識の高さを感じさせるが、
大阪の長屋はいかにも下町、いかにも庶民的と感じさせる。
2階建の長屋、平屋の長屋、屋根の高さが不揃いな長屋、三角屋根が特徴的な長屋、何度見てもカルチャーショックを受ける。
木津駅で降りて昼食を食べた。
駅前に一つだけ定食屋があった。「ひので食堂」という名前だった。
店内は空いていた。
店内には猫が放たれており、心が和んだ。
僕はうどん定食という、饂飩とお米とお新香という、どうしようもないセンスの注文をした。
どうしてそれを注文したのかわからない。
木津から隣の加茂駅で関西本線亀山駅に乗る。
亀山から名古屋行きに乗り換える。
桑名で降りてこの夏の旅は静かに終わった。
クソみたいに重かったバックパック
また来年な!